nagaya.の日常 01『いつの間にか』

nagaya.をオープンしてから三年がいつの間にか過ぎた。その間に店主は二人の子供の出産があり、数名のスタッフさんも出産し、年内で産休に入ったスタッフさんもいて、この三年ちょっとで身近に可愛い赤ちゃんを六人も見ることになる。お店に来て頂くお客様も三十代前後の方も多く、カップルでうつわを選んでいたお客様が今年は、いつの間にか赤ちゃんを抱っこして店に来てくれるようになったり、色んな家族の時の流れを感じて嬉しく思う。


”いつの間にか”と書くことが増えた。nagaya.のSNSや企画展の告知や、作家さんとのメールのやり取りなどの、何気ない文章でつい書いてしまう。一段落目の文章も、あまり考えずに書いたら、二度も”いつの間にか”とある!息子は二歳を過ぎ、自分の思うことをはっきりと言葉にすることが増えた。クリスマスイブの今日の朝、「しゃんたしゃん、うちぃくっかなあ(サンタさん、うちに来るかなあ)」と話しながら、ホットケーキの生地を息子と一緒に混ぜて焼いた。それも保育園帰りのある日「しぇんせぇとほっけきまじぇまじぇしてぇー、じゅーした(先生とホットケーキ混ぜて、ジューって焼いた)」と報告してくれて、あれ、ま、そんなことも”いつの間にか”出来るようになったんだ、と焦ったのだ。そう、子供が産まれる前はもっと心に余白があったような気がする。何かを考える時間もしっかりあった。今は、店のことをしながら、保育園の送り迎え、ご飯の準備、お風呂にいれて、寝かしつけて、、、と決まった時間に決まった生活を慌ただしく過ごして、何かを考える以前に”いつの間にか”日々が過ぎて、子供たちも”いつの間にか”大きくなっている。


来年は、仕事をいつもと違ったペースにしようかなあと、ここしばらく断片的に考えていた。今までは二ヵ月に一度nagaya.で企画展をして、年に四回くらい「ナガヤ縁日」をして、となんとなく決まったペースで仕事をしていた。たった三年の間でも、いつもと同じを”いつの間にか”作っていたようだ。しかし、自分の生活のペースが変わったのに、nagaya.のペースを変えていなかったので”いつの間にか”が増えてしまったように思う。


12月から第二・四土曜日に定期出店が始まったパン屋の「モリグチャウダー」さんの昨日のブログを読んで、やっぱり来年は何か違ったペースに変えてみて余白を作ってみようと決心した(こんな文章も定期的に綴っていけるくらいに!)。ナガヤプロジェクトという場所で常に人を迎える、ということを自分自身がじっくりと噛み締められるように。



どれだけ、どんな方法で広報活動をしたとしても、いちばん大事なのは「その場所で常に人を迎えている」ということに勝ることはないんだと思った。そしてそれを続けることこそが難しい。それを「努力」という言葉では単純にくくれないと思う。「その場所で常に人を迎えている」ことを、楽しめる。そこがいちばん大事なんだと思う。本当に「好きでやってること」だったら、それを「努力してる」と考えもしないだろうから。

モリグチャウダー「ハッコーストーリーライター」その場所で常に人を迎えている




2017.12.24 クリスマスイブ、静かな店内にて。
nagaya.yoshida